貸切バスの種類・料金・運行ルール

大型二種免許 × 総合旅行業務取扱管理者

貸切バスの種類・料金・運行ルール

旅行会社とバス運行、両方の視点から分かりやすく解説

トラベルマスカット代表 山田 隆

山田 隆

旅行会社として団体旅行や貸切バス旅行を企画・手配する一方、大型二種免許を保有し、バス運行の現場にも携わっています。旅行会社と運行現場、両方の視点から無理のない旅行行程をご提案しています。

総合旅行業務取扱管理者 大型二種免許保有 バス会社所属 岐阜県知事登録旅行業 第2-392号 全国旅行業協会正会員

貸切バスを選ぶときは、参加人数と料金だけを見ればよいわけではありません。車両の座席数、荷物スペース、走行距離、運転者の拘束時間、休憩時間、車庫からの回送など、さまざまな条件を確認する必要があります。

トラベルマスカット代表は、総合旅行業務取扱管理者として旅行を企画・手配する一方、大型二種免許を保有し、バス会社にも所属しています。このページでは、旅行会社とバス運行の両方の視点から、貸切バスの仕組みを分かりやすく解説します。

貸切バスは大きさだけで選べません

貸切バスを利用する際は、単純な車の大きさだけでなく、以下の設備や条件も考慮する必要があります。

  • 正座席と補助席の違い
  • 乗車定員と快適に利用できる人数の違い
  • トランクや荷物スペース
  • 後部観音扉の有無
  • サロン席
  • 冷蔵庫、テレビ、DVDなどの設備
  • 道路幅や駐車場による車両制限
  • 高速道路料金の車種区分
現場からのポイント

28人乗りのマイクロバスでも、28人分のスーツケースを積めるとは限りません。宿泊旅行では、座席数だけでなく荷物スペースの確認が必要です。

大型・中型・小型・マイクロバスの違い

大型バス

  • 向いている旅行: 大人数の団体旅行、宿泊旅行
  • 主な特徴: 座席数が多く、大型トランクを備えた車両が一般的
  • 注意点: 道路幅、駐車場、乗降場所の確認が必要

中型バス

  • 向いている旅行: 20名前後の団体旅行
  • 主な特徴: 大型バスよりコンパクトで、比較的ゆったり利用できる
  • 注意点: 保有台数が少なく、繁忙期は確保しにくい場合がある

マイクロバス

  • 向いている旅行: 少人数・近距離旅行
  • 主な特徴: 小回りが利く
  • 注意点: 荷物スペースや車内設備は車両によって異なる

小型バス

  • 向いている旅行: 少人数の観光旅行
  • 主な特徴: サロン席などを備えた車両もある
  • 注意点: 車両数が少ない

コミューター

  • 向いている旅行: 少人数の送迎
  • 主な特徴: コンパクトで移動しやすい
  • 注意点: 観光設備や荷物スペースが限定的
車種 主な利用目的 特徴 注意点
大型バス 大人数の団体旅行、宿泊旅行 座席数が多く、大型トランクを備えた車両が一般的 道路幅、駐車場、乗降場所の確認が必要
中型バス 20名前後の団体旅行 大型バスよりコンパクトで、比較的ゆったり利用できる 保有台数が少なく、繁忙期は確保しにくい場合がある
小型バス 少人数の観光旅行 サロン席などを備えた車両もある 車両数が少ない
マイクロバス 少人数・近距離旅行 小回りが利く 荷物スペースや車内設備は車両によって異なる
コミューター 少人数の送迎 コンパクトで移動しやすい 観光設備や荷物スペースが限定的

※座席数や荷物スペースなどの設備は、同じ車種でも車両によって異なります。

貸切バスの料金はどう決まるのか

時間制運賃
キロ制運賃
各種料金
実費
貸切バス料金
大型バス1日○万円と単純には決まらない

貸切バスの運賃は、主に利用時間に基づく「時間制運賃」と、走行距離に基づく「キロ制運賃」を合算して計算されます。さらに、出庫前・帰庫後の点検時間(通常それぞれ1時間ずつ加算)や、深夜早朝料金、交替運転者配置料金などが加わります。

これらに加え、実際の運行では高速道路料金、駐車料金、乗務員宿泊費などの実費が別途必要になる場合があります。

岐阜県における貸切バス運賃の基準額

以下は、岐阜県を管轄する中部運輸局の2025年9月26日公示の基準額です。これは正式には「変更命令の検討を必要としない運賃・料金の基準額」と呼ばれるもので、いわゆる「下限料金」の目安となりますが、この表の金額だけで実際の見積額を計算できるわけではありません。

車種 距離制運賃 時間制運賃
大型車 1km当たり150円 1時間当たり7,430円
中型車 1km当たり130円 1時間当たり6,270円
小型車 1km当たり110円 1時間当たり5,490円
コミューター車 1km当たり100円 1時間当たり4,900円

「15時間ルール」とは何か

貸切バスの運行には、乗務員の過労を防止するための厳格な基準があります。

車庫出庫
回送
お客様乗車
観光・待機
お客様降車
回送
車庫帰庫

お客様の乗車時間だけではなく、回送・点検・待機なども拘束時間に関係します。

現行基準では、1日の拘束時間は原則13時間以内、適用条件を満たして延長する場合でも最大15時間までと定められています。この拘束時間には、お客様が乗車している時間だけでなく、車庫を出てから集合場所までの回送、出発前後の点検、待機、車庫へ戻る時間などもすべて含まれます。

現場からのポイント

最大15時間とは、お客様がバスを15時間利用できるという意味ではありません。長時間の旅行計画では、車庫からの移動時間も含めて無理のない行程を組む必要があります。

貸切バスの500km・600kmルール

貸切バスの交替運転者配置基準では、「一運行の実車距離」と「1日の合計実車距離」を分けて考えます。

実車距離

  • お客様が乗車可能として設定された区間の距離
  • 回送運行は含まない

運転時間

  • 実車運行に加え、車庫からの回送運行も含む

貸切バスの昼間ワンマン運行では、一運行の実車距離は原則500km以内です。実車運行区間の途中に合計1時間以上の休憩を確保し、分割する場合は1回を連続20分以上とした場合は、600km以内まで運行できる場合があります。

また、同じ運転者が1日に複数の運行を担当する場合は、「1日の合計実車距離600km」という別の基準も関係します。夜間ワンマン運行では、一運行の実車距離は原則400km以内で、所定の休息期間や乗務時間などの条件を満たした場合に500km以内となる場合があります。

これらの距離だけで運行可能かどうかを判断することはできません。運転時間、拘束時間、連続運転時間、休憩時間、夜間運行の有無なども合わせて確認する必要があります。

現場からのポイント

Googleマップで片道280kmと表示されるため、往復560kmなら必ず一人の運転者で運行できる、という意味ではありません。実車区間と回送区間を分け、運転時間、拘束時間、休憩時間などを総合的に確認する必要があります。

いわゆる「430ルール」とは

バス運転者の連続運転時間は、原則4時間以内です。運転開始後4時間以内または4時間経過直後に、合計30分以上の運転しない時間を設ける必要があります。分割する場合は、少なくとも1回を連続10分以上とします。

この「4時間以内の運転」と「合計30分以上の中断」を組み合わせて、実務上「430」と呼ばれることがあります。

運転
最大4時間
運転中断
合計30分以上
運転再開
4時間30分連続して運転できるという意味ではありません。

430の「30」は、連続して運転できる時間を30分延ばすという意味ではなく、必要となる運転中断時間を指します。また、高速乗合バスや貸切バスが高速道路等の実車運行区間を走行する場合は、連続運転時間をおおむね2時間までとするよう努める必要があります。

現場からのポイント

旅行行程を組む際は、最初から4時間ぎりぎりの連続運転を予定するのではなく、余裕を持ったサービスエリア等での休憩スケジュールを設定することが大切です。

貸切バスの中間点呼とは

中間点呼は、夜間の長距離運行に従事する運転者などを対象に、運行途中で少なくとも1回行われる点呼です。すべての貸切バス旅行で行われるものではありません。

電話や遠隔点呼などの方法により、酒気帯びの有無、疲労や睡眠不足、健康状態、運行状況の確認が行われます。

現場からのポイント

夜行運行の途中でバス会社から運転者へ電話が入る場合があります。これは単なる業務連絡ではなく、安全運行のための重要な確認です。

Googleマップどおりにバス行程を作れない理由

旅行の計画時、Googleマップのルート検索を利用される方が多いですが、以下の理由から貸切バスはその時間通りには運行できません。

道路・車両

  • 大型車が通行できる道路
  • 車両の速度や加速
  • 高さ・幅の制限

時間・運行

  • 回送時間
  • 休憩時間
  • 拘束時間
  • 渋滞への余裕

観光地

  • バス駐車場
  • 乗降時間
  • 参加人数によるトイレ休憩時間

Googleマップで3時間と表示されても、貸切バスの行程を3時間で組めるとは限りません。

トラベルマスカットが旅行行程を作る際に確認すること

当社では、法令遵守とお客様の快適な旅行を実現するため、実務的に以下の項目を確認して行程を作成します。

  • 出発地と最終帰着地
  • バス会社の車庫位置
  • 回送距離と回送時間
  • お客様が乗車する実車区間
  • 運転者の拘束時間
  • 連続運転時間
  • 必要な休憩時間
  • 観光施設のバス駐車場
  • 道路幅や高さ制限
  • 参加人数
  • 荷物の量
  • 交替運転者の必要性
  • 宿泊時の乗務員客室
無理なく運行できる貸切バス旅行をご提案します

人数、荷物量、走行距離、休憩時間、観光施設の駐車場まで確認し、旅行内容に適した貸切バスと行程をご提案します。

FAQ

貸切バスの料金は1日いくらですか?

「1日いくら」と決まっているわけではありません。利用時間(点検時間や回送を含む)と走行距離を合算し、駐車場代、高速代なども含めて計算されます。

大型バスとマイクロバスは何人乗りですか?

車両によって異なりますが、一般的に大型バスは正座席45名+補助席、マイクロバスは最大28名程度です。ただし、荷物の量や快適性により適切に乗車できる人数は変わります。

マイクロバスにスーツケースは積めますか?

マイクロバスには大きな荷物スペースがない車両が多く、全員分のスーツケースを積むのは難しい場合があります。宿泊旅行等で荷物が多い場合は、トランクがある中型バス以上をおすすめします。

バスは1日に何kmまで走れますか?

昼間ワンマン運行の場合、原則として1日500kmまでです。ただし、これはお客様が乗っている実車距離だけでなく、車庫からの回送距離も含めた合計距離で計算されます。

15時間ルールとは何ですか?

運転者の過労を防ぐため、1日の拘束時間を原則13時間以内、適用条件を満たして延長しても最大15時間とするルールです。お客様が15時間利用できるわけではなく、点検や回送時間も含まれます。

430ルールとは何ですか?

バス運転者の連続運転時間は原則4時間以内とされ、運転開始後4時間以内または4時間経過直後に合計30分以上の休憩等(運転しない時間)を設けるルールです。「4時間30分まで自由に運転してよい」という意味ではありません。

長距離の場合は運転手が2人必要ですか?

1日の走行距離(回送含む)が原則500kmを超える場合や、運転時間・拘束時間の基準を超える場合、または夜間長距離運行の場合は、交替運転者(ツーマン運行)が必要です。

夜行運行の中間点呼とは何ですか?

夜間の長距離運行の安全を確保するため、運行の途中でバス会社から運転者に対して行われる点呼です。健康状態や疲労の確認が行われます。